佐賀県国際交流協会(SPIRA/スパイラ)は、1990年(平成2年)に設立され、佐賀県内の国際交流に取り組んできました。近年は在住外国人の増加に伴い、SPIRAの活動内容も「多文化共生の地域づくり」へとシフトしています。
わたしたちSPIRAの事業のひとつに、日本語教室の活動のサポートがあります。
みなさんは「日本語教室」と聞くと、どんな場所を思い浮かべますか?
先生がいて、授業を受ける生徒がいる、学校のような場所でしょうか?
日本語教室の話をするときに、よく一緒に登場する言葉に「日本語学校」があります。そこはまさに、日本語教師が留学生に日本語を教える「学校」であることは、みなさんもご存じだと思います。
一方で、日本語教室はどうでしょうか?
日本語教室は、それぞれの地域によってボランティアが運営するもの、行政が運営するものなど様々ですが、日本語学校とは打って変わって「学習」の要素が強くないものも多いです。そこは単に日本語を言語として学ぶのではなく、その地域に暮らす日本人と外国人が交流しながら、日本の文化や生活の情報、ルールを学ぶ場です。「先生 対 生徒」ではなく、「住民 対 住民」の関係。互いの文化を学び合う「あなたとわたし」の関係性をもつ温かい居場所となっています。地域のイベントに一緒に参加したり、住民同士が顔見知りになることで、災害時のセーフティーネットとして機能するなどといった、地域づくりにもつながっています。
実は、この日本語教室でも日本語教師が活躍しています。教室での活動に資格は特に必要ありませんが、メンバーには日本語教師の資格を持った方も少なくありません。外国人に日本語を教えることについて勉強した知識が、仕事という形でなくとも地域の教室活動で生きています。
そのほかにも、SPIRAでは日本語指導が必要な子どもたちを支援する事業を行っており、日本語教師(子ども日本語学習サポーター)の派遣・紹介や、そのための養成講座もおこなっています。
外国につながる子どもたちが増加している今、サポーターが子どもの日本語学習を支える重要な役割を果たしています。
ここでは、日本語教師の資格や経験が、地域で生かされている例をご紹介しました。この記事をきっかけに、日本語教師の幅広い活動を知っていただければ嬉しく思います。
(文:佐賀県国際交流協会 平実穂)
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